ウシュアイア バイク旅行記-世界一周ツーリング

真冬のウシュアイアをバイク旅行する恐ろしさを体験!

 

2007年4月15日〜

 

アスールを出てふと気づいたのだが、アスールより先、 街らしい街が殆どない。

 

街がないと言うことは、バイクを動かす上で重要なガススタがないということだが、さすがにマジで200キロ以上 ガススタがないと流石にビビる。

 

オレのバイクは一応300キロは無給油で走るのであるが、ここパタゴニアではそれがぜんぜん余裕ではないのである。

 

なぜかというと、200キロチョイでバイクが 突然止まってしまった事が何度かあるのだが、理由が分からずタンクを覗いてみると、なんとガソリンがない。

 

バイクの調子がおかしいと思い、調べても特に異常はない。

 

 

不思議だ...。

 

後になって気づいたのだが、燃費の悪い原因は単純だった。

 

それは、意外ではあるが、なんと『風』なのである。

 

単純だけど、『風』が100キロ単位で燃費を悪くするほどバイクのエンジンに負担になっている。

 

燃費に大きく影響するレベルで強烈だという事だ。

 

 

恐るべきパタゴニアの風!!

 

地元の人の話では,(英語話せる)、一番ヒドイのは春で、普通に歩くだけでもかなり辛く、道の端につかまりながら歩くのだという。

 

彼は笑いながら話していたが、それは大袈裟ではなく本当だろう。

 

大体、秋の今でさえ冗談ではなく普通に立ってるだけでかなり困難である。

 

これ以上とは・・・ちょっと想像したくない。

 

道中、街らしい街が殆どないのもなんとなく頷ける。

 

住みにくい場所には誰も住みたくはない。当たり前と言えば当たり前か。

 

んな場所なので、ほとんど野宿しているのであるが、一日の中で一番憂鬱なのがテントを張る時と畳む時である。

 

 

まず、

 

@テントを組み立てようとして地面に置くとパーツが全部吹っ飛ぶ。

 

Aそして何とかテントを組み立てた!と思た矢先にテントごと吹っ飛ぶ!!

 

Bさらに、吹っ飛んだテントを取りに行ったらテント以外の物が全部吹っ飛ぶ。

 

 

とにかくメチャクチャ疲れるのである!!

 

で毎日強風と共に走っていたのであるが、当然バイクは斜め走行。

 

後ろを走っていた車の多くはオレのバイクを追い抜いて行く際に、必ずといっていいほどサインを送ってくれていた。

 

多分 <『大変そうだけどがんばれ』 的な意味なのであろうが、
後ろから見てさぞ危なそうに見えたのだろうと思う。

 

冷静に考えたら後ろから見てバイクは斜めなのに道路をまっすぐ走れている姿は相当不気味だ。

 

 

アルゼンチン最南端の町ウシュアイアまであとちょっと!のはずが。。。


 

そしてアスールを出て6日目、

 

とうとうウシュアイア手前280キロ地点まで来た。

 

ブエノスアイレスから2900キロ・・

 

流石にここまで来ると息が白い。

 

 

バイク世界一周 費用

 

寝袋2枚重ねにしても正直寒いのであるが、この日はアルゼンチンの国境のイミグレーションにある待合室で宿泊。

 

 

オレ>のような個人旅行者用の施設なので暖房ガンガンかかって幸せだった。

 

昨日は予想外に電灯ひとつない真っ暗闇の100kmちょっとダート(砂利道)走行するハメになりかなり怖かったが、無理して来て良かった。

 

もうあとは道草を食っても余裕で辿り着く距離である。

 

道路もアスファルトでかなりラクチンだし心配する要素は全くない。

 

しかし 私は、 心のどこかで引掛っていた。

 

『こんなにすんなりいく筈はない』
と。

 

今までの自分の経験上、必ずオチというか何かあるのが私の旅行である。

 

一種の被害妄想的な条件反射みたいなものであるが、実際には気持ち悪いくらいなにもなかった。

 

その日はなんと、天気も快晴!

 

風もない。道も走りやすい。景色も良い。

 

正に非の打ち所がない。

 

さらに言うならウシュアイアは今秋で紅葉が色鮮やかなのである。

 

最高だ。

 

 

そう、ウシュアイア手前40キロまでは・・・

 

 

 

道路はいつしか山の中を走る様になり、峠道 を走っていると、突然道路が濡れだした。雨が降ってないのに路面が濡れてる事自体 おかしい。

 

反射的に減速したのだが、よく見ると何と前方の道路が白い!!

 

凍結だ。

 

しかもその距離がハンパなく長い!

 

試しにバイクを止めて歩いて見ると、いきなりコケた。

 

 

なんだこれ!?

 

メチャメチャ滑るじゃん!!

 

4輪ならともかく装備ゼロでバイクで走るなんてとんでもない。

 

 

オレは迷った。

 

進むべきか戻るべきか・・・

 

 

登山家の言葉に

 

『勇気ある撤退』

 

という言葉があるが、今正にそれである。

 

目的地が目と鼻の先という状況で戻るというのはかなり勇気がいる。

 

オレは過去に無理をしてアマゾンのジャングルを走って死にそうになった経験があるので正直引き返そうと思った。

 

この場面は無理をしていいシチュエーションではないのである。

 

悔しいが仕方ない事である。

 

最南端に到達する為にアルゼンチンを選んだのであるが、今回はツキがなかったのだ。

 

 

引き返そう......。

 

 

が、その時!!

 

ウシュアイア方面から一台の車が走って来た。

 

オレはその車を止めてこの先の道路がどういう状況になってるのか聞く事にした。

 

引き返す言い訳が欲しくて止めただけなのだが、彼の答えは意外だった。

 

 

『大丈夫だよ。行ける』

 

と。

 

しかし、凍結している所はまだたくさんあるのではないのか!!?

 

すると彼は何故か嬉しそうに

 

『ぜんっぜんない。大した事ない少しだけだから。ただ十分気をつけて行きなさい。』

 

え?行けるの!?

 

確かに目の前の路面は側道の、まだ凍結していない雪の部分を走ればパスできる。この前もあまりないというのであれば...

 

 

よーし、ならこの人を信して行ってみようという気に なった。

 

彼は

 

『スウエルテ(グッドラック)』

 

と言い残し、去って行った。

 

とりあえず走りだす。ゆっくりゆっくり通過し何とかパス。

 

成程、数える程なら何とかなりそうである。

 

 

と思っていたら、次から次へと凍結部分は出てきた。

 

日の当たっている部分は溶けていたりするが、山の影になってる所はほぼ凍っている。

 

ぜんぜん違うじゃねえか!!!!

 

なにが『グッドラック』 だよ(笑)

 

何考えてんだあああああああああああああ!!

 

 

果たして、彼 の言ってた事は、全くをもってデタラメであった。

 

しかし、何だかんだで中途半端に進んでしまった手前行かざるを得なくなってしまった。

 

仕方ないので確実性を重視して、比較的滑らない側道ばかり走っていたのだが、後ろから通過していく車はスリックタイヤをほとんど履いてない。

 

側道ばかり走っていると速度が全然でないのもあって、試しに走って見たら、意外と行ける。

 

ブレーキをかけたら一発で滑るが、かけないで直線上に走っている分には方向を変えない限り滑らない。

 

もちろんスピードは余り出せないが、35km/hで進めれば十分だ。

 

 

こんな調子で結局ウシュアイアに着いてしまった。

 

帰りは帰りで心配な部分はあるが、まあ降らない事を祈るしかない。

 

とりあえず上野亭という日本人宿を探す。

 

意外と簡単に探し出せたが、とにかく、一週間ぶりにちゃんとした物を食いたい。

 

そして体を洗いたい、という思いでいっぱいだった。

 

ここのオーナーのお母さんは、とても親切で、この日、夕食まで作ってくれた。

 

久々に風呂にも入れてもう幸せ!!

 

今日は最南端に着いた喜びに浸ろう。

 

前回、辿り着かなかった者にしか分からない、多分に自己滿的なものであるが しかし、まあこれで前回の旅の念願は果たせたのであった。

 

 

 

これが楽しみで危険を犯してまでウシュアイアまで来たのに

 

 

それにしても、ウシュアイアは最果ての街としてはセントロ(中心街)は意外と賑やかである。

 

免税店もあり、日本製の電気製品から何から一通り揃う。

 

が、それより何よりここはカニが有名なのである。

 

それを楽しみに風に耐え、寒さに耐え、アイスバーンに耐えここまで来たのであるが、魚屋行ったら、なんとカニがない!!

 

 

来た意味ないじゃん!!!

 

 

一応、足だけ束ねた冷凍品 はあるのであるが、俺が欲しいのはそれじゃないのよ。

 

しかも高いし。

 

上野亭に帰ってお母さんに聞いて見た所、

 

『現地人は誰も食べないのよ。魚もあんまり食べないし。
牛肉さえあればそれでいいっていう人達だから。』

 

そりゃ店には置かないわ。

 

なんでも、”某地球の〜 ”によれば、取れたカニは
カニ缶にしてしまっているという。 なんちゅうもったいない事を!!

 

しかし、何とかならないものか。上野亭のお母さんに尋ねてみた。

 

すると

 

『実はオマールっていうチリ人の漁師がいて、頼めばカニとウニを取って来てくれるのよ』


という。

 

おお、カニだけではなくウニまでも!?


真にオマールは救世主だ!!

 

名前もなんか海産物みたいだし。

 

さっそく頼もうとした所、

 

『でもオマールいつの間にかいなくなっちゃったのよ。どっかいっちゃった 』

 

 

どこに行ってんだオマああああああアアァァ嗚呼ーーーーーーーール!!!!!!!!!

 

 

勝手に行方不明になるんじゃない!!

 

 

とにかくもう、どうしようもない。

 

明日のジョーの最終回みたいになってしまったオレであったが、夜宿に置いてある旅行者が書いた書きこんだ情報ノートを見ていたら、なんと

 

『ウニがどうしても食べたい人へ』

 

という書きこみを発見!!

 

おお、これは!?

 

たぶんオレと同じ境遇だった人が苦難しつつも何とか確保するルートを見つけたのだろう。

 

心の友よ!

 

この際、ウニだけでも食えたらラッキー☆

 

とか思って内容を読む。

 

 

すると衝撃の事実が発覚!!

 

 

『スーパーでプリンを買って来て適度にほぐす。
そして醤油をきつめにたらして目をつぶって食べたら, ほらなんとなく ・・・』

 

 

 

もう、寝る事にした。

 

 

さて、ここウシュアイアの宿上野亭 は世界最南端にある日本人宿で、
移民でアルデンチンに来た上野さん夫妻が20年位前から旅行者のために始めた施設である。

 

今では奥さんのあや子さんが犬のトウルーチャと暮らしているのだが、
とても親切な人で、時々お茶やゴハンなどをオレにご馳走してくれたりする。

 

また、アルデンチンに来た時の話やウシュアイアになんで来たのかなどの話がめちゃくちゃ面白い。正しく人に歴史あり、である。

 

ウシュアイアの上野山荘の飼い犬 トゥルーチャ

 

犬のトウルーチャはとても 人なつこく甘えん坊な犬で1日中飽きないし、宿自体丘の上にあるので眺めも最高だしでいうことなし。

 

 

NHKのBSが見られるのでNHKドラマ『どんど晴れ』を見て、なつみ頑張れ!!とか言いながらトゥルーチャと遊んで、肉食ってワイン飲んで風呂(ドラム缶)入って寝て、最高.

 

めちゃくちゃ居心地がいいのである。

 

しばらくはここにいたい。そう思った。

 

 

そう、雪がなければ、ね。。。

 

次項に続く。

 

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